
電子機器の高性能化・小型化が進む中、発生する熱をいかに効率よく逃がすかは、製品の性能や信頼性を左右する重要な課題となっています。
半導体をはじめとする電子部品では、放熱接着剤や放熱シート、各種フィルム材料など、限られたスペースの中で熱を伝える材料が幅広く使用されています。
こうした用途では、単に熱伝導性の高いフィラーを使用するだけでなく、薄膜化への対応や塗工性、使用する樹脂との組み合わせなど、実際の加工工程を考慮した材料設計が求められます。
株式会社トクシキでは、こうした薄膜・フィルム用途への展開を想定した「溶剤系窒化アルミニウム分散体(開発品)」を開発しています。
高熱伝導フィラー「窒化アルミニウム」を溶剤中へ分散
今回開発した分散体では、放熱フィラーとして窒化アルミニウムを使用しています。
窒化アルミニウムは、熱伝導率70~270W/(m・K)と、セラミックスの中でも高い熱伝導率を持つ材料です。
その一方で、実際に樹脂材料やフィルム材料へ使用する際には、フィラーを均一に分散させ、目的とする塗工性や膜厚に合わせた材料設計を行うことが重要になります。
トクシキでは、これまで培ってきた分散技術を活用し、窒化アルミニウムを各種溶剤中へ分散した状態で提供することで、フィルム・シート材料への展開をしやすくした分散体を開発しました。
D50約2.0µm、D90約5.0µm――薄膜・狭ギャップ用途を想定
本分散体の特徴の一つが、比較的小さい粒子径の窒化アルミニウムを使用している点です。
使用している窒化アルミニウムは球状で、粒子径はD50約2.0µm、D90約5.0µmです。
大きな粒子を含む材料では、膜厚を薄くした際に粒子が障害となる場合があります。
今回の分散体ではD90を約5.0µmに抑えているため、薄膜や狭ギャップを必要とする用途への適用を想定しています。
特に、放熱性能と薄膜化の両方が求められるフィルム・シート材料において、材料設計の選択肢の一つとして活用いただけます。
エポキシ・アクリル・ポリイミドなど、使用樹脂に合わせた溶媒展開
フィルムやシートを設計する際には、使用する樹脂によって適した溶媒が異なります。
今回の溶剤系窒化アルミニウム分散体では、エポキシ、アクリル、ポリイミド(ポリアミック酸)への混合を想定し、複数の溶媒系を開発しています。
現在の開発グレードは以下の通りです。
| 製品名 | 主溶媒 |
|---|---|
| SOAN-0001A | シクロヘキサノン |
| SOAN-0001M | MEK |
| SOAN-0001T | トルエン/MEK |
| SOAN-0001N | NMP |
このように、使用する樹脂や製造プロセスに合わせて溶媒を選択できるラインアップを検討しています。
DDAF/DAF、絶縁放熱シート、放熱接着フィルムなどへの展開
本分散体では、特に塗工工程を伴うシート・フィルム用途への展開を想定しています。
主な想定用途として、
・DDAF/DAF等の粘着フィルム(アクリル系)
・絶縁放熱シート/フィルム(ポリイミド系)
・放熱接着フィルム(エポキシ系)
などが挙げられます。
例えば、アクリル系粘着材料への配合、ポリアミック酸との混合によるポリイミド系放熱フィルム、エポキシ系放熱接着フィルムなど、それぞれの樹脂系に合わせた展開が考えられます。
従来からトクシキで開発している溶媒レスの「エポキシ媒体放熱(熱伝導性)フィラー分散体」が接着剤や封止材、成型体など幅広い用途での材料設計を想定しているのに対し、今回の溶剤系分散体は、特に塗工・薄膜・フィルム化を伴う用途への展開を意識した材料となっています。既存の溶媒レス品は、用途に応じた設計自由度を特徴として紹介されています。
開発グレード「SOAN-0001A」の代表値
シクロヘキサノンを主溶媒とした「SOAN-0001A」の代表値は以下の通りです。
| 製品名 | フィラー | フィラー分(%) | 主溶媒 | 固形分(理論値)% | 粘度(mPa・s) | 粒子径D50μm | 粒子径D90μm |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| SOAN-0001A | チタン系黒色顔料 | 60.0 | シクロヘキサノン | 61.2 | 6.0~11.0 | 2.0 | 5.0 |
※上記数値は代表値であり、規格値ではありません。
用途や樹脂に合わせたカスタマイズにも対応
放熱材料では、求められる性能だけでなく、使用する樹脂、塗工方法、膜厚、乾燥条件などによって必要な材料特性が変わります。
トクシキでは、今回ご紹介した開発グレードを基本として、用途や使用条件に応じた各種カスタマイズについてもご相談いただけます。
「窒化アルミニウムを使用したいが、うまく分散できない」
「薄膜化した際に粗大粒子が問題になる」
「使用している樹脂に合わせた溶媒系で検討したい」
といった課題についても、分散加工メーカーとして材料設計からご相談ください。
まとめ
トクシキの「溶剤系窒化アルミニウム分散体(開発品)」は、
・高い熱伝導率を持つ窒化アルミニウムを使用
・D50約2.0µm、D90約5.0µmの比較的小粒径設計
・薄膜・狭ギャップ用途への適用を想定
・エポキシ、アクリル、ポリイミドへの混合を想定
・シクロヘキサノン、MEK、トルエン/MEK、NMPの各溶媒系を展開
・DDAF/DAF、絶縁放熱シート、放熱接着フィルムなどへの展開を想定
した放熱材料です。
電子部品の高性能化・薄型化が進む中、放熱材料にも熱伝導性だけでなく、実際の加工工程に合わせた「使いやすさ」が求められています。
トクシキでは、分散技術を活かし、用途・樹脂・プロセスに合わせた放熱材料の開発を進めています。
溶剤系窒化アルミニウム分散体について、評価・サンプル・カスタマイズをご希望の方はお気軽にお問い合わせください。


