本特集では、インビジブルインキの新たな可能性を広げるためにUV・IRに関連する分散液の種類や特徴・異なる側面に着目した、新たな用途を紹介します。
UV・IRインビジブルインキ用分散液とは?
組織のセキュリティ要件と個人情報の保護を満たすためには、IDカードに非接触ICチップを導入することが考えられます。しかしこの方法は、出入りが頻繁であったり多くの人が利用する場合、大量のカードを管理する必要があるため高い管理コストがかかる可能性があります。より低コストな手法として二次元バーコード(いわゆるQRコード)などの読み取り方式を検討することも考えられますが、これはカメラやコピー機で簡単に複製できるため情報漏洩のリスクが伴います。利便性の高いQRコードの脆弱性を解決する一つの対策として、紫外線や赤外線領域のインビジブルライトを利用することが挙げられます。
これらの波長は人の目に認識できず、そもそもどこに情報があるかもわからないことから、セキュリティを向上させることが可能になります。紫外線を使った具体例として、下記の写真の左側は通常照明下で透明なガラス板が載っているが、右側はブラックライトを照射した状態でQRコードが浮かび上がっている様子が示されています。
この手法では、透明な蛍光物質分散液をガラス板に塗布して、その上に透明な酸化セリウム分散液を塗布したフィルムを貼り付けています。例えば、これをインクジェットで印刷できれば、超低コストで微細から大きなUVQRコードを量産することが可能です(今回は手製の為透明側の見本も印影が目立っておりますが、インクジェットの利用や色目調整することで人の目では模様が分からないようにする事は可能であると考えられます)。
IRについても同じことが言えます。トクシキにはIR透過ブラックがラインナップされていますが、このインクを使って作成したQRコードをもし特定赤外線で見たらどのように映るでしょうか?
また特殊フィラー分散液であるATO分散液(9751SN)やCTO分散液(9786CW)をこのQRコードの上に重ね書きしたらまたは裏面に作成したらどのように映るでしょうか?
下記の透過率グラフを見て想像していただければ興味深いQRコードの映り方になるのではないでしょうか?
上記の分散液を組み合わせれば印刷という簡便な手法ですが、QRコードを組み合わせることで情報を複雑に高度化することが可能になり、高度なセキュリティを築くことが出来るのではないでしょうか。
UV・IRインビジブルインキ用分散液のラインナップ
トクシキのインビジブルインクに使用可能なラインナップは下記のグレードになります。紫外線吸収+可視光透明分散液
製品名 | 分散液種類 | 分散媒 |
---|---|---|
9841CO | 酸化セリウム分散液 | 溶剤系 |
9058ZO | 酸化亜鉛分散液 | 溶剤系 |
9059ZO | 酸化亜鉛分散液 | 水系 |
AUP-4044 | 酸化亜鉛分散液 | 紫外線硬化性樹脂含有 |
黒色+赤外線透過
製品名 | 分散液種類 | 分散媒 |
---|---|---|
IRBK-0001 | 赤外透過分散液 | 溶剤系 |
IRBK-0002 | 赤外透過分散液 | 水系 |
IRBK-0003 | 赤外透過分散液色目変更 | 溶剤系 |
IRBK-0004 | 赤外透過分散液色目変更 | 水系 |
IRBK-0005 | 赤外透過分散液 | 無溶剤 |
IRBK-0006 | 赤外透過分散液色目変更 | 無溶剤 |
IRBK-0007 | 赤外透過無機分散液 | 溶剤系 |
IRBK-0008 | 赤外透過分散液 | 溶剤系 |
近赤外線+可視光透明分散液
製品名 | 分散液種類 | 分散媒 |
---|---|---|
9786CW | CTO分散液 | 溶剤系 |
9751SN | ATO分散液 | 溶剤系 |
9387SN | ATO分散液 | 水系 |