
特に従来のIR反射分散液では、「黒色度が低い」「黒色には見えない」といったご意見を頂く事もありました。
今回、その課題を解決する新たな分散液が登場しました。
深みのある黒と優れた遮熱性能の両立
可視光線領域を十分カバーする黒さと、優れた近赤外線の反射を両立させます。本製品は、“十分な黒色度”を実現しながら、広範囲の近赤外線(NIR)を反射します。
太陽光の熱源といわれる可視光線と赤外線をカットしつつ、広範囲の近赤外線を反射
することで表面温度の上昇と、下地への熱伝導を同時に抑制します。
そのため太陽光による表面の温度上昇を軽減しつつ、外観の黒さを兼ね備えた、
新しい黒色フィラー分散液です。

クロムを一切含まない安心設計
従来の黒色遮熱フィラーでは、安定した黒色発色のために三価クロム系化合物が一般的に使用されてきました。しかし本製品はクロム元素を含有していないフィラーを使用しているため、より高い安全性・環境適合性を求める市場ニーズに応える、次世代の環境対応型材料です。
例えば、港湾設備や橋梁など、黒系景観塗装が求められるインフラ構造物では、「美しい黒色」と「熱に強い塗膜」を両立することが長年の課題でした。
本製品を用いた遮熱塗料は、深みのある黒色を保ちながら、近赤外線を反射することで表面温度の上昇を抑制するため、構造物の赤外線による劣化や熱による変形を防ぎます。
さらにクロム元素を一切含まず環境負荷が少ないため、港湾・鉄道・橋梁など公共インフラ分野における次世代の景観保護塗料への応用が期待されます。
持続可能なものづくりへの貢献
クロムフリーでありながら、黒色の深みと遮熱性を維持したこの分散液は、建材・自動車・家電・電子機器など、幅広い用途に対応。
環境対応や安全性に厳しい海外規格にもスムーズに適合でき、
サステナブルな素材選定を目指す設計者・メーカーに新たな選択肢を提供します。
黒色NIR反射型遮熱フィラー分散液の活用用途と種類
想定用途
黒色遮熱塗料(建築外装)や塗装表面を熱くしたくない黒色塗料(自動車ダッシュボード、産業機器筐体)など
ラインナップ
| 製品名 | フィラー種 | 顔料固形分(%) | 溶剤組成 | 理論固形分(%) | 粘度(mPa・s) |
|---|---|---|---|---|---|
| Z001IR | Mn系複合酸化物 | 70.0 | PGME | 87.5 | 1,000~3,000 |
| Z002IR | Mn系複合酸化物+α | 20.0 | PGME | 25.0 | 1~20 |

まとめ
トクシキでは「黒色NIR反射型遮熱フィラー分散液」を開発いたしました。その特徴は
- 黒色にもかかわらず、表面温度が上がり難く熱伝導が起こり難いことです。
- 無機顔料のため耐候性が良く、遮熱機能が要求される黒色屋外塗料に適しています。
- 従来の黒色IR反射分散液よりも黒色度が強いZ001IRよりもさらに黒色度をアップしたZ002IRも同時にラインナップしました。


