
AR(反射防止)などの光学コーティングでは、高屈折率であることに加えて、「白濁しない」「ヘイズが出ない」「見た目がきれい」なことが採用の前提条件になります。
そこで当社は、チタン酸バリウム(BaTiO₃)を高添加しやすい高屈折率領域でも濁りが起きにくい分散液を開発しました。
本製品は、D90を100nm未満に抑える粒度設計により、100nm以上の粗大粒子を徹底的に低減。厚膜時の光散乱を抑えることで、安定した低ヘイズ(1%未満)を実現します。
なぜ「D90<100nm」が効くのか
光学用途では、平均粒径(mv)が小さくても、粒度分布の右側(D90側)に粗大粒子が残っていると、光散乱が増えてヘイズ(HAZE)の原因になりやすくなります。
特にAR用途では、数値評価以上に目視による外観評価が重視されるため、粗大粒子の残存は「粒感」「ムラ」「白濁」につながり、即NGとなるケースが少なくありません。
本開発品は、D50の低減や分布幅の縮小だけでなく、100nm超の粗大粒子の発生を抑える粒度分布設計を重視しています。
その結果、高充填・厚膜塗工時でも、拡散散乱(ミー散乱)に起因するヘイズの増大を抑え、高い光学透明性を維持できる点が特長です。
製品概要:低ヘイズ高屈折チタン酸バリウム分散液(溶剤系)「Z003BT」(開発品)
特長① 高い透明性
顔料濃度40%を維持しながら、高濃度配合時の透明性を改善しました。
特長② 高い屈折率
従来品に比べて分散剤量を8.5% → 6.0%に低減。これにより、理論屈折率が1.92 → 2.00へ向上しました。
特長③ より高屈折率を目指せる設計
分散剤を減らしたことで、ベースとなるコート剤成分をより多く配合しやすい設計です。さらに、分散液の添加量を増やした場合や、膜厚を厚くした場合でも、白濁しにくいことを狙っています。
◎ 高屈折率材料(コート剤・粘着剤など)の屈折率調整を、従来品以上に強くサポートします。
想定用途
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高屈折率 光学材料系コート剤
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粘着剤の屈折率調整
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スマホ/ディスプレイ/光学フィルム/車載表示向けの外観重視コーティング など
注目データ(従来品比較)
粒度分布(粗大粒子側)
| 製品名 | D90 | 平均粒径(mv) | 屈折率(理論値/固形分換算) |
|---|---|---|---|
| Z003BT | <100nm | 40–60nm | 2.00 |
| 従来品 | <150nm | 40–120nm | 1.92 |
※参考:mv目安 Z003BT 54nm、従来品 64nm
塗膜(膜厚10µm)での光学特性(顔料/樹脂比)
| 製品名 | 顔料/樹脂比 | HAZE | 全光透過率(%) |
|---|---|---|---|
| Z003BT | 50/50 | 0.5 | 88.0 |
| 60/40 | 0.6 | 87.2 | |
| 70/30 | 0.6 | 86.8 | |
| 従来品 | 50/50 | 0.9 | 87.8 |
| 60/40 | 0.9 | 87.7 | |
| 70/30 | 0.9 | 87.5 |
技術ポイント:外観NGを招く“粗大粒子”の低減へ
AR/光学用途では、白濁・ヘイズだけでなく、粒感・ムラや、保存/塗布時の再凝集が課題になりがちです。 Z003BTは粒度分布をシャープ化し、粗大粒子起因の外観不良リスク低減を狙いました。さらに、樹脂相溶性や密着性に配慮した界面設計の考え方で、光学用途での使いやすさを高めています。


