
透明用途における無機系UVカット材の課題
透明部材にUVカット性を付与したいというニーズは、車載部材、建材、包装材、加飾用途など、さまざまな分野で高まっています。特に、紫外線による変色、劣化、ひび割れなどを抑え、部材の美観や性能を長く維持したいという要求は年々強くなっています。こうした用途において、無機系UVカット材は長期耐久性の観点から有望な材料として注目されています。一方で、透明用途では白濁しやすく、十分な透明性を保ちながら使用することが難しいという課題がありました。UVカット性能を高めようとして添加量を増やすと、ヘイズ上昇や外観悪化につながりやすく、透明性との両立が大きな壁となっていました。D90低減と粗粒極小化に着目した分散設計
トクシキでは、この課題に対して分散設計の面からアプローチしました。今回の開発で特に重視したのは、単に平均粒径を小さくすることではなく、D90を低減し、透明性を阻害しやすい粗粒を極限まで減らすことです。透明膜では、わずかな粗大粒子の存在が散乱を引き起こし、白っぽさや曇りの原因になるため、透明性を高めるうえでは粒度分布の制御が重要になります。 そこで同社では、粒度分布の裾野に着目し、粗粒を抑え込む方向で分散液をブラッシュアップしました。これにより、透明性を維持しながらUVカット性を付与しやすい設計を目指しています。つまり本開発品の特長は、単なる微粒子化ではなく、透明用途に適した粒度分布を追求している点にあります。


耐候コーティング用途への展開を想定
この特長により、今後の展開先として特に期待されているのが耐候用途です。たとえば、車載樹脂部品向けの透明オーバーコート、建材やプラスチック部品の表面保護層、包装材向けトップコート、印刷物や表示部材の保護用途などでは、紫外線による劣化を抑えつつ、外観の透明性を維持することが求められます。今回の高透明性UVカット分散液は、こうした要求に応える材料として提案可能です。 また、従来広く使用されている有機系UV吸収剤は、用途によっては長期使用に伴う性能低下が課題となる場合があります。そのため、長く機能を維持できる材料への関心は根強くあります。一方で、無機系材料は白濁しやすいという理由から透明用途では使いにくい面がありました。今回の開発は、その弱点をD90低減と粗粒極小化によって補い、無機系UVカット材の可能性を透明用途へ広げる取り組みといえます。透明性と長期保護を両立する新たな提案へ
トクシキでは今後、塗膜見本や評価データの充実を進めながら、本開発品を耐候コーティング用途に向けた高機能材料として提案していく方針です。透明性を損なわずに紫外線から部材を保護したいというニーズに対し、新たな選択肢として注目されます。低ヘイズ高透明性UVカット分散液(開発品)の活用用途と種類
想定用途
車載クリアコート剤、包装フィルムトップコート剤、耐候性インキなど
ラインナップ
| 製品名 | フィラー種 | 顔料分(%) | 溶剤組成 | 理論固形分(%) | 粘度(mPa・s) | 粒径(平均nm) | 粒径(D90nm) |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| Z005ZO | 酸化亜鉛 | 20.0 | PGME | 23 | 2.0~5.0 | 25 ~ 55 | < 100 |
| 既存グレード | 酸化亜鉛 | 20.0 | PGME | 23 | 2.0~5.0 | 150 ~ 200 | < 300 |
まとめ
トクシキでは「低ヘイズ高透明性UVカット分散液」を開発いたしました。その特徴は
- 透明性を維持したままUVを遮断できる高分散ナノ粒子UVカット材料。
- 車載樹脂部品、プラスティック建装材、包装材などへの透明コーティング用途に最適。
- 外観品質を守りながら、紫外線劣化から製品価値を長期的に保護します。
- 100㎚以上の粗大粒子を減らすことで低ヘイズ高透明を実現。



