分散と凝集│樹脂合成ができる分散加工メーカー株式会社トクシキ

2018/11/16

技術情報微粒子化技術

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トクシキのサイトでよく見かける「分散と凝集」という言葉。化学の業界でのこの言葉は少しだけ特殊な意味合いがあります。
今回は分散や凝集の意味や原理や仕組みについて簡単に解説します。

分散とは

溶媒に不溶の顔料やフィラーなどを樹脂溶液の中でせん断力などの物理的な力を用いて一定の粒度まで解砕（解凝集）させ、粒子が均一で安定的な状態することを分散と言います。またその結果出来る液状のものを分散液と呼びます。
この様に固体（固相）と液体（液相）による分散液のほかに液体（液相）同士（例えば、水と油など）を分散した分散液などもあります。これらは一般的にエマルジョンと呼ばれ、自然界では牛乳もその一種です。
カーボンブラックの分散、凝集モデル

図1カーボンブラックの分散凝集モデル

分散の原理・仕組み

顔料やフィラーなどの粉体粒子は、通常多くの一次粒子が集まり固まった状態（凝集）となっています。
この凝集した粒子を分散させるプロセスの初期段階として、まず粒子の表面を樹脂溶液などで湿潤（ぬれ）させます。
その次に、機械的なせん断力などから粒子微細化していきます。微細化された粒子は再び凝集しようとする力が働きますが、これを抑えるために適切な添加剤を加えることで安定化した分散液を作ることが出来ます。

凝集とは

顔料やフィラーの一次粒子（顔料やフィラーの最小単位の粒子）が多く集まり、固まった状態になることを凝集と呼びます。
通常原材料としての顔料やフィラーは凝集した状態で、乾燥した粉状になっています。
分散液において、粒子同士が再び集まりくっつく（再凝集）か、安定的に分散状態を保っているかは、元々顔料やフィラーなどの物質が持っている分子間力（ファンデルワールス力）や水溶液の場合では分散時に帯びる粒子表面の電気的な特性に依存します。
粒子が表面に帯びている電気的な反発力と粒子間の分子間引力（ファンデルワールス力）で相殺された反発力が粒子の運動エネルギーよりも大きければ安定的な分散状態が持続すると考えられています。
したがって、粒子間の距離（分散液の濃度や粒径など）や水溶液の場合はｐHなどが安定性や再凝集の因子になりうると考えられます。

分散の安定化

分散液を安定化させるために、適切に分散剤を選択し、適切な量を添加する必要があります。
分散剤を添加する効果として、立体障害があります。
図のように粒子に高分子の界面活性剤が吸着し、凝集の邪魔をすることによって、分散の安定化を図る仕組みです。
ただし、溶媒の極性の有無やｐHなどによっては分散剤が逆に凝集を助け、再凝集を引き起こすことがあり、適切なフォーミュレーションは非常に重要です。