近赤外透過ブラック分散液の新たなラインナップとは?
近赤外線とは、波長が約0.7マイクロメートルから2.5マイクロメートルの範囲で、人間の目には見えない電磁波の一種です。太陽からの放射エネルギーの約40%が近赤外線であり、植物の光合成にも重要な役割を果たしています。近赤外線は物質によって吸収や反射の度合いが異なります。例えば、水分や脂肪は近赤外線を吸収しやすく、アルミニウム、銀、酸化鉄などは反射しやすいです。これを利用したセンシング技術は、主に反射型と透過型の二種類があります。反射型は、近赤外線を物質に照射し、反射した近赤外線の情報を測定する方法です。物質の表面や薄い層の特性を知ることができます。透過型は、近赤外線を物質に通過させ、透過した近赤外線の情報を測定する方法です。物質の内部や厚い層の特性を知ることができます。近赤外線のセンシング技術は、農業、食品、医療、環境、工業など、様々な分野で応用されています。例えば、農作物の品質や収穫量の予測、食品の鮮度や栄養成分の測定、血液や皮膚の検査、大気や水質のモニタリング、プラスチックや金属の分別などが挙げられます。
トクシキではこれまで、近赤外線領域の光(電磁波)を透過する特長と、漆黒性の高い黒色である特長の2つを持つ顔料を微粒子化した「近赤外透過ブラック分散液」をご紹介してまいりました。今回新たなラインナップをご紹介いたします。近赤外透過ブラック分散液は、ウレタン、アクリル、ポリエステルなどの各種樹脂溶液や各種溶剤などと幅広く相溶性があります。また、自然に近い黒味が出せるIRBK-0008や、今回新たにラインナップした、スペクトルが長波長側(800~900nm)で立ち上がるIRBK-0009/0010など、目的に合わせて選択できる製品をラインナップしています。これにより、センシング技術の精度が向上することが期待できます。近赤外透過ブラック分散液は、従来のカーボンブラックの代替となり得ます。カーボンブラックは可視光から紫外線、赤外線まで透過、反射しないため、赤外線センシングには不向きです。しかし、近赤外透過ブラック分散液を用いれば、表面は漆黒性があるにも関わらず、赤外線を透過させることができます。また、下地に赤外線を反射する素材を塗布すれば、漆黒性と赤外線反射を両立させることも可能です。今回ご紹介した近赤外透過ブラック分散液IRBK-0009/0010は、屋外用途を想定して耐久性の高いフィラーを用いております。これにより、自動運転など赤外線センシング技術を用いる多くの場面で、黒い意匠の車両や物体をセンサーに認識させるために貢献できると考えられます。
近赤外透過ブラック分散液の活用用途と種類
想定用途
IRセンサー検知体の外装塗料用として
ラインナップ
製品名 | 顔料種 | 顔料分(%) | 溶剤組成 | 粘度(mPa・s/25℃) | 平均粒径(nm) |
---|---|---|---|---|---|
IRBK-0001(比較用) | 有機 | 16 | PGMEA | 3.5 ~ 5.5 | 150 ~ 250 |
IRBK-0008 | 有機 | 10 | 酢酸ブチル | 2.0 ~ 4.0 | 150 ~ 250 |
IRBK-0009 | 有機 | 10 | MBA | 4.7 ~ 6.7 | 100 ~ 200 |
IRBK-0010 | 有機 | 10 | 酢酸ブチル | 4.2 ~ 6.2 | 170 ~ 270 |
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まとめ
トクシキでは「近赤外透過ブラック分散液」に新たなラインナップ(IRBK-0009/0010)を加えました。- 「近赤外透過ブラック分散液」は近赤外線領域の光(電磁波)を透過する特長と、漆黒性の高い黒色である特長を併せ持ちます。
- 新たなラインナップしたIRBK-0009/0010はこれまでより長波長側(800nm付近)から立ちあがる(透過する)ため赤外線センシングの精度が上がることが期待されます。
- IRBK-0009/0010は屋外用途を想定して開発しています。