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CTO(セシウムドープタングステン酸化物)分散液(溶剤系)(開発品)とは?特徴、種類、活用用途をご紹介

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トクシキではこれまで「未来のくるま」というコンセプトの中でいくつかの製品を提案してまいりました。その中でも「熱」をどのようにコントロールするかということは非常に重要な課題であると認識してまいりました。今回の記事は「外側からの熱を遮蔽する」ことをテーマにCTO(セシウムドープタングステン酸化物)分散液(開発品)について特徴や種類、活用用途をご紹介いたします。

CTO(セシウムドープタングステン酸化物)分散液(溶剤系)(開発品)とは?

これまで「放熱」というキーワードに基づき、車両の内側から作られる熱を外側に逃がすことを中心に検討してまいりました。
しかし当然ながら熱は内側からだけでなく外側からも影響を与えます。外側からの熱は「外気温」や「輻射熱」のほかに「太陽光線」からの直接的な照射、とりわけ「赤外線(熱線)」の影響は車輛にとって甚だ大きいと言わざるを得ません。
夏場に猛暑日が続くことが当たり前になった昨今では車輛の中で冷房を使用することは必須です。車体が金属やガラスでおおわれている車輛は「赤外線(熱線)」の照射によって温度の影響を受けやすいためこれを遮蔽することは乗る人の快適性だけでなく冷房効率の向上が期待でき、省エネ(SDGs的に言えば環境負荷の低減)に繋がります。このことは「未来のくるま」だけではなく住環境や太陽光発電の効率向上にもつながる重要な要素であると言えます。
トクシキでは以前から「赤外線(熱線)」を遮断する機能を持つ「熱線遮蔽材料」に注目してまいりました。一言で「熱線遮蔽材料」と言ってもその幅は広く、吸熱ガラスや熱反射ガラス、赤外線反射フィルムなどに主として金属の練り込みや金属膜を活用したものや、積層フィルムの様に屈折率の違う樹脂を活用したものなど様々な手法が比較的古くから用いられております。
近年ではATO(アンチモンドープ酸化スズ)やITO(インジウムドープ酸化スズ)などの透明電極フィラーの微粒子分散体が用いられるようになっております。これらフィラーの微粒子分散体は導電性だけでなく赤外光(熱線)を吸収しながら可視光を透過するという特徴を持っています。
以前ATO(アンチモンドープ酸化スズ)を用いた熱線カット高屈コート剤をご紹介させていただきましたが、下図に示すようにATO(アンチモンドープ酸化スズ)は特に波長2000nmより長い波長の赤外線をカットする性能がありました。

図1 ATO/CTO透過率比較

しかし特に夏場の直射日光に含まれる赤外光は800nm~2000nmに集中しており、日射中の赤外光カットはあまり効率よくできませんでした。トクシキの紹介するCTO分散液は、日射スペクトルにおける赤外光の遮蔽に特化したスペクトル特性を持っています。実際に直射日光のスペクトルと上図のATO/CTOの光源を日射スペクトルに置き換えてシミュレーションしてみますと、主な赤外線波長である800nm付近を80%以上、900nm以降については100%に近い赤外線をカットができました。(下図参照、いずれも計算値です)


図2 太陽光のモデル日射スペクトルおよびATO/CTOによるカット効果イメージ図
xEVは内側(バッテリーやモーターコンバーター等)からも外側(太陽光線におる照射)からも熱にさらされ、優れた放熱機構を持っていてもうまく放熱できなくなることが危惧されます。また車輛の居住空間においても、ガラス面だけでなく車体に降り注ぐ熱線を防がないと、物体からの輻射熱の影響で車内が暖められてエアコンの冷却効率が大幅に悪くなってしまいますが、このことは住宅でも同じことが言えます。
車輛、住宅のいずれにせよ、トクシキの新しい熱線カットフィラーを含有する膜を形成させることで、太陽光や外気からの熱をカットし、室内の温度を一定に保つことで「Q値」が上がりエネルギー効率が良くなることが期待できます。

図2 紫外線・可視光線・赤外線の流れと、太陽光を吸収した車体からの輻射熱のイメージ図
トクシキの熱線カット分散液は可視光領域における透過率が高い事も特徴です。これを応用すれば、アモルファスシリコン型の太陽光発電に使える日射スペクトルが今回ご紹介した熱線カット分散液の持つ透過スペクトルと非常に近い特性があることから、太陽光発電デバイスに対する有効性が期待できます。自動運転しながら大容量の太陽光発電ができるような「未来のくるま」が今後登場してくるかもしれません。
CTO(セシウムドープ酸化タングステン)は絶縁物質のため、電波干渉が少ないという特徴があります。これは住宅でももちろんですが「未来のくるま」では尚更重要なファクタとなります。それは自動運転における大量データ通信においてATOやITOの様な導電性被膜が電波障害の原因となり、通信上のリスクとなることが考えられるからです。
以上のことをまとめて、「未来のくるま」のデバイスとして利用した場合のメリットを考えますと以下のことが言えると思います。
①車体の温度上昇抑制→自動運転用の各種センサーの熱による誤作動緩和
②遮熱ガラス向け→エアコン効率アップ
③赤外線遮蔽グラス→赤外線センサーからの人体(特に目)保護
④透明や柄物の日傘用保護フィルム

このことは住宅や太陽光発電の発電効率アップ(パネル温度の上昇抑制)などへの理由も十分考えられます。


CTO分散液(溶剤系)(開発品)の活用用途と種類

活用用途:

遮熱コート剤、光学フィルターなど

ラインナップ:

製品名 顔料種 顔料分(%) 溶剤組成 粘度(mPa・s/25℃)
9786CW CTO(doped cesium tungsten oxide) 20 Propylene glycol monomethylether 1~10


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CTO(セシウムドープタングステン酸化物)分散液(溶剤系)(開発品)のご紹介ページ


まとめ

  • 「未来のくるま」というコンセプトに「赤外線(熱線)」を遮蔽することを新たな要素として加えました。
  • 可視光を十分透過しかつATOやITOと比較して太陽光の赤外線カット率が高いCTO(セシウムドープタングステン酸化物)を分散したCTO分散液(溶剤系)を開発いたしました。
  • CTO分散液(溶剤系)はさらに絶縁性物質のため、電波の干渉少ないという特徴を持ちます。
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